20190504クリエイティブライティング ぼくの世界

ここは、四方を塀に囲まれた砂漠。僕は犬1匹と住んでいる。他には誰もいない。塀の外では人々が行き交う街。賑やかな笑い声や話し声が聞こえてくる。でも、僕は人々が話す言葉がわからない。僕の家には、時々、塀を乗り越えてくる鳥たちがやってくる。僕は鳥たちの話を聞くのが楽しみだ。鳥たちは口に袋を加え、袋いっぱいにあちこちの葉っぱ、見たこともないおもちゃや布や紙切れを運んでくる。そして、それらのものを僕は大切にとっておく。そして、それを時々取り出して眺めるのが好きだ。

 ある日、僕が犬を連れて散歩をしていると地面から土が固くなった突起のようなものが出ているのを見つけた。僕の膝ほどの高さで、固そうに見えるが触ると弾力があり揺れる。そして、次の日、その突起は僕の頭ほどになっていた。

翌朝には僕の家をはるかに超える大きさになっていた。砂漠には何もないように見える。それなのに、地面の下には何があるのか?僕は気になって、地面を掘ってみることにした。掘っても、掘っても突起を起こした何かは見つからない。でも、地面の下で何かが起きている。それが何なのか僕にはわからなかった。でも、せっかくこんなに大きくなった岩の塔に登ってみようと思った。落っこちないようになんとかしがみつくようにして登ってみる、塀の向こうの世界が見えた。

 その風景をみたとき、塀のこちらと向こうの世界は同じなのか?違うのか?と思った。僕がここにいたいのはどうしてだろう。でも、僕は安心できるここにいたい。僕はわからなくなった。