7月26日社会的インパクト評価研修

7月26日、愛知県主催の社会的インパクト評価の研修に行きました。

社会的インパクト評価、成果志向、ソーシャルインパクトボンド・・いけいけなNPOやソーシャルビジネスのもの・・とひとまとめ、あんま好きじゃないもの・・と思ってて、前のめりで研修を受けに行こう思わなかった。

そうこうしているうちに、基礎基本を改めて学べる機会もなくなっていくのかも?!と思っていたら、ちょうど開催されるということで行きました。
「イベント主催者側でいるのが好き」というのは、実は人の話を座って聴いてるのが苦手であるからなのか・・と思った。学校で授業なんてよく受けられたもんだ。
受け身で聞いてると寝落ちそうだったため、記録を書くつもりでメモを取ったら寝ないで済んだ(汗)

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※レポートは研修の内容をすべて記録しているわけではなく、私が印象に残ったことをピックアップ

しています。

 

最初は藤田滋さんのお話。

日本財団経営企画部パートナー開発チーム 社会的インパクト評価イニシアチブ共同事務局)
社会的インパクト評価とは

休眠預金を民間の社会的事業に活用する際の評価指標として位置付けられているもの。

ステークホルダーがどのように変化していくか。自分たちがテーマにする社会課題が解決されるにはどのようなアウトカムを生み出していくかを考えるのがロジックモデルというフレームワーク

どっちかというと、ファンドレイジングとか助成金を申請するときに示していくもの=社会的インパクト評価なのか?と思っていた。

金をもらうため・・ではなく、自団体の事業の評価と計画づくりに生かしていくためのものでもあるというのは、自分の捉え方が違ったのがわかった。

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津富宏先生のお話(静岡県立大学教授・NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡理事長)

 

「社会的インパクト評価は何のためにあるのか」

社会的にどのようなインパクトを生み出すのか・・それを考えるのは大事。いやいやでもさー、なんでもかんでも評価や成果を求めていく、それでいいのか?!と、成果志向で考えていくことには違和感もある。
事業は、「知のコモンズとケアのコモンズの往復運動」の中で、成熟していく。
知のコモンズは理論、ケアのコモンズは実践。

 

就労支援なら、就労支援の方法としてこうするといいというエビデンスを元に、実践をする。実践してみて、現場レベルで修正していく。

 

その往復運動の「助け」になるのが社会的インパクト評価。
社会的インパクト評価が何のためにあるのか・・というのが「公共をつくっていく」という考え方が私は好きだし、興味がある。

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津富先生:「すべての団体が成果志向で資金分配することには賛同しない」と仰っていた。
これは実際にもう起きていると思う。

助成金申請をしていて、誰でも認識している社会課題への助成金は多くて、そして、その申請のときにも成果志向であることを求められていると思う。

でもそんな大きなインパクトは生み出せないけど、地域の中に人のつながりをつくるとか、市民のシチズンシップを醸成しているとか・・そうした価値を生み出している団体には「価値」ないのか・・世の中全体が、成果志向がいいんだという風に傾いていくとき、成果を出せない団体のことをよく思わないとか、活動がぬるい・・とかって思うようなことも起きているのではないかと思う。

組織が身の丈に合わない成果を求めていくときに、無理な圧がかかることもあるなぁ。
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津富先生「成果、生産性、アウトカムがあることを優先していくと、人権保障が弱まっていくのではないか・・」
(例えば、生活保護を削り、生活困窮の事業に充てるというようなこと・・成果に傾くことは人権を守るために必要なサービスは低下していくのではないか?)

教育なら、上手にプレゼンができる、ハキハキ喋れる、新しいことを創造できる・・そういうアウトプットができる子がいい子。おしゃべりもできないし、フットワークも重い、それではダメだと言い切っていいのか?その子なりの個性・・とか言いながら、アウトプットすることがいいという価値観に人を導いてないか?

学術研究の分野でも世の中に役に立つ分野のこともあれば、すぐに役には立たない基礎研究という分野もあるよね・・とか。

教育、文化、福祉には成果では計れないことがたくさんあるから、社会的インパクト評価とか成果志向に振り切るのは賛同できないなぁと思う。

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津富先生:「人とつながりという価値を社会に生み出している・・というのは、「社会関係資本」という視点で評価していくことも必要」

おお、そうだよね、そんな視点で見ていけばいいのだと思う。では、社会的インパクト&社会関係資本という視点で評価していくようなフレームとか流れはあるんだろうか・・・。。

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感想

・自団体の実態を正しく捉え、本当に必要な計画を立てられるのか?

中長期計画、ステークホルダーがどう変化していくか、社会がどう変わっていくか・・を考えて計画を立てたりすることはよくあることだけど、その中で事実を盛る、背伸びしてみせる、背伸びした未来を描いていくということはあるのではないかと思う。そして、背伸びした未来に巻き込まれていく人たちもいるのでは。研修やワークで考えるので終わり、実際はやれない計画を考えていることってあるあるだと思う。

助成金の申請書にあるから、とりあえず急しのぎで書く。そんな評価とロジックモデルでは何も意味がないと思う。評価を意味あるものにするには、理事の役割も重要ではないかと思う。金を取るためではなく、自団体を映す鏡のようなものとして、使っていけるなら意味があると思うけど、、実際はどうかなぁ・・。

・知のコモンズとケアのコモンズの往復運動→市民社会の成熟

 そこに資するのが「社会的インパクト評価」

評価や調査が活動を成熟させていく・・ということは、知を集積している学術機関や図書館、中間支援組織もまた、社会的インパクト評価に関わっていくということか・・

コモンズをつくることにそれらの組織はどうかかわるのか、それらの組織にも社会的インパクト評価を取り入れようって流れはあるのかな〜?と最後に質疑応答の時間に質問したら、他の人の質問に埋もれ、スルーをされたような気がする・・笑

ソーシャルインパクトボンドで図書館をつくることも出てきたみたいですが。

gendai.ismedia.jp

 

私は、社会的インパクト評価と図書館がつながったー!ということがすごく腑に落ちたんだけど、フロアーの関心と少し違う視点すぎたのだと思うのと、そこで図書館につなげてしまうのは図書館のことを考えている人間だからだと思う。

図書館とそこはつながらないのが、広く一般の人の見方だと思う。

その次元で話し合おうとするとますます遠いものになると思いました。

それに気づいたのが一番大きな気づきだったなぁ。

 

で、研修を受けてみて、私はコモンズをどうつくるかに興味があるということを再認識したのと、これも一つの潮流と遠くで眺めておこうと思いました。笑

社会的インパクト評価のフレームをつくる側の藤田さんと、それでいいの?!と突っ込む側の津富先生、両端いたからとても面白かった。