うつと引越し 

 来週、新居(区内・家から車で10分くらい)に引越し。新居完成については、人からは、「おめでとう」としか言われない。おめでたいことだから、環境の変化を不安に思っていても、その不安はあんまり共感されない。不安は、新居の明るい話にかき消されてしまう。妊娠初期にみんなに「おめでとう」と言われるが、心の中の不安は捉え所がなかった時のことを思い出す。そのギャップ感に似ている。

1.いつもと同じが変わってしまう引越し

 うつになってから、「いつもと同じ」が自分の身体には負担がないというのがよくわかる。いつもと同じ時間に起き、いつもと同じ時間、9時過ぎにミスタードーナツか、マクドナルドか、喫茶店に行ってコーヒーを飲んで、本を読み、その後スーパーに行って、買い物をする。午後からは図書館に行ったり、コワーキングスペースに行く。夕方はプールで泳ぐ。休職以来、このルーチンの中で、毎日やることに脳のエネルギー使わないで、自動化して過ごしてきた。「ちょっと違う」ことへアテンションを向ける際に、人間の脳は情報処理をして対応しているが、今の私の脳は対応力が落ちている。

 引っ越すということは、いつも通る道は通らなくなるし、家の中の風景は変わるし、目に入るもの全てが「変わる」ということである。引越した後、システムをまるっと変えて暮らし始めるようなもの。

 わたしは、もともと、「環境」への親しみ、愛着が強い。道に咲いてる花とか、壁のシミとか、月極駐車場の看板とか、自販機とか、忘れてしまうようなことも含めて自分がいつもいる環境を愛しく思っている。そうしたものが全て変わってしまう。「そんな大袈裟な・・、そのうち慣れるよ」と思われるかもしれないが、人から見たら、水滴一粒垂らし、拭いたらすぐになくなるようなものも、今の私には、大きな波のように増大して、疲労感や不安感になり、そして体調は悪くなる。それがうつであり、その身体の変化もイメージできるがゆえに、引越しが楽しみというか不安の方が勝る。「気にしない」ようにしたらいいとかそういうことではなく、脳のプログラミングの問題。

 メンタルクリニックで、主治医とは別に時間を取る、心理士さんのカウンセリングの時に、不安について相談し、対処を一緒に考えた。超具体的で、参考になったのと、こうやって考えれば、環境の変化ストレスもできるだけ小さくできそう。

2.引越し鬱に備えるための工夫

▶︎自分の「いつもと同じ」をつくるいつも使うものや、安心できるものが、引越しのハコの中に紛れないようにする。つい先日、いつも使うものがない、探すということをこの前やってて、そのイライラ感によって、不安、息苦しさが増すなぁと思った。引っ越したらこうなるんかなと思う。自分の安心をつくるものは紛れないようにする、これ大事ねーー。

▶︎新居から自分の好きな場所(図書館・プール・喫茶店)に行く道に慣れておく。

 風景を染み込ませるようなことだ。

▶︎子どもや家族との関係、慌ただしさ、いつもを維持できない要素を減らす。

引越しにより、私以外の家族が「いつもの」をつくれるようにする。子どもが使うものがどこにいったかわからない・・!子どもイライラ・・となると子どもとのコンフリクトになる。子どもがいつも使うものをわかりやすくする。

▶︎段ボール箱が部屋の中に積み上がるといつもの環境と変わりざわざわするかもしれないが、

「今だけ」と思う。箱を見えないところに積んでおく。

▶︎引越し後の予定

 予定を入れない。子どもの冬休みのお休みの時、子どもが何しよう、暇〜!って言うことへの対応がストレスになることがあるから、遊ぶネタをいくつか用意しておく。

 スーパーも年末年始でいつもと変わるので、まとめ買いするなどして、世の中の喧騒からの影響を小さくする。

3.自分の安心をつくるものを自覚する

心理士さんとの面談が終わって、後日、自分の安心をつくるもの、自分が気づいてない自分のルーチンとは何かを改めて考えた。リスト化した。

「朝のNHK朝ドラ、ブギウギを見るのは大事なルーチン」だと気づいた。引っ越した翌日もブギウギ見られる環境は大事だな・・とシュミレーションし、イメージしたら、なんと、電気工事の予定の関係で、見られるようになるのは、年明けーーーー!と、わかった。。

 そのため、レンタルーターの予約と、自分のパソコンで見逃し配信見られるように設定が必要とわかり、見逃し配信の設定を自分のPCにして、見逃し配信を見てみた。

 よかった・・これで一本生命線がつながったような気分だ。

 自分の大事なものやコトというのは、些細なことすぎて気づかないものである。それが安心をつくっている、それが欠けると不安になるということに気づき、「快の轍」をつくることをできてよかった。環境の変化ストレス対応は、災害時とか、卒業・入学・入園などの時にも参考になる考え方だと思う。あと、「いつもと同じ」に安心する発達障害特性のある方も同様の考え方で対処していると思う。いつもと違うことに対応できるって、当たり前のことじゃないんだねと思う。