【フリーライブラリアン活動記録】図書館と市民をつなぐ仲人

始まりは、「こんなことできるかな?」という相談
昨年度、地域で聴覚障害の子どもの支援のお仕事しているお友達から相談をいただいた。
「施設に置く本って団体貸し出しで借りられたりする??そして、その絵本を図書館司書さんに選書をお願いできたりするのかなぁ?」
「そのエリアの図書館ならば知ってる人が中にいますよー!」とお返事をして、図書館司書の知人に聞いてみる。「できますよ!担当者に、そうした方から問い合わせあるかもって言っておいたよ」って、異動で変わってしまう前に引き継いでいてくれたらしい(嬉)
図書館司書さんと、地域の人の出会いの場のお手伝い
そして、C図書館に出向き、実はこのような相談があって・・施設の方とお話しする機会をセッティングできるか?と相談する。話を通してくれていたおかげで「ぜひ!」と快諾いただく。
そして、先日、図書館の児童サービスの司書さんと、施設の方、数人で図書館を訪ねてお話しする場の取り持ち、進行をしてきた。
 
聴覚障害の子どもたちの生活・情報・学習の環境って??
聴覚障害児・者の方には、どんな風に世界が見えているのか、どんな風にコミュニケーションを取るのか、どんなことに困っているのか・・。身近な方でいないと当事者の視点を知る機会もないかもししれない。絵本を選んでいただくために設定した打ち合わせは、絵本を届ける先の子どもたちや支援者がどんな環境の中にいるのかを知る機会でもある。
 
基礎的なことを、施設の方に教えてもらう。
聴覚障害の子どもたちの聞こえ方は様々で、全く聞こえない場合と少し聴力がある場合がある。
装着しているのは補聴器なのか人工内耳なのか。言語として、手話を使う場合、使わない場合があるということ。どんな学びや経験の機会が必要か、本や絵本をどんな存在と考えているかを担当者に伝えてもらう。
 
参加してくださった施設の方の中には、ご自身が聴覚障害の方もいらっしゃり、手話の同時通訳として、手話ができるスタッフの方が来てくださる。そして、私は話したことを、紙に書いてグラフィックしていく。それは、聞こえない人と話を共有する手段でもある。
よくワークショップなどで行う、グラフィック(板書)がこのような観点からも求められるなんて!
 
絵本「だるまさんが」の聴覚障害児支援の現場での価値
児童サービス担当の司書さんも、私も「なるほど!」と思ったことがあった。
「だるまさんが」(作・絵 かがくいひろ 出版社:ブロンズ新社)は、だるまさん「が」「と」「は」と、助詞でだるまさんの動きが変化する子どもたちに大人気の絵本。
 日本語の助詞を理解しにくいろうや難聴の子どもたちにとって、助詞の違いがわかるいい絵本。施設のスタッフの方は、この絵本に出会った時に「この絵本いい!!」と思ったらしい。
 
「そんな絵本、他にないですかね〜」と聞かれる。多様なニーズや状況にある当事者からの「問い」があるから、図書館にある多くの情報が編集され、利用者の元に届けられる。
わくわくする「問い」に出会った瞬間だと思った。
 
図書館と地域の人が出会う・お見合いする場でなにが生まれるか
図書館の方は、地域の施設を知ることができた。
読書バリアフリーに必要な、様々なニーズや特性をもつ子どもたちに必要な学びは何かを知ることができた。
地域の市民は、図書館の人と顔のみえる関係になった。
そして、次は集めていただいた絵本を施設の方や子どもたちと一緒に見てみようか・・
そして、そこに他館の図書館司書さんも呼んでみよかな・・と、ここから新しい学びと出会いが生まれていく。そんなことを予感させる場となった。