リハビリ図書館・読書活動 ある日の記録 7月14日

 7月10日より1ヶ月休職になりました。

うつ病で休職になった人の1日とはどのようなものを想像されるのだろうか。

人によって、症状のフェーズが違い、症状の重さによって過ごし方は違うだろう。

私の場合は、朝起きて、ごはん食べて、ご飯つくって、水泳して、読書して、仕事して・・という日常のサイクルは回せるくらい、人間らしい生活は送れるレベル感であるが、仕事の方での消耗度が激しい。一旦お休みした方がいいと、主治医と相談して休むことになった。

悲観的な感情、身体のしんどさ、意欲の湧かなさが、もやもや、ぐるぐると考え続けるような時間もある。その最中に図書館に行って、本に出会っている。ライブラリアンの友人に「全部ジャーナルしておいたら、いいのでは?」というアドバイスをいただく。メンタル不調者に図書館や本はどのような存在であるのかについて、n=1の一つのデータが取れる、こんなオイシイ経験はないのではないかと思い、記録していく。

7月14日の記録

家から地下鉄に乗り、東図書館へ行く。新刊棚を見て、小説の棚を見て、手芸の棚を見て、本棚の間をぐるぐると歩く。新刊棚にメンちんしてあるモノクロの装丁が美しい「詩と散策」(著者:ハン・ジョン・ウォン 橋本智保 書肆侃侃房)が目に止まり、借りて帰った。

 

www.kankanbou.com

 

その後、朝、マクドナルドへ行ってコーヒーを飲む時に開いて読んだ。

丁寧に編まれた「言葉」が心に染み渡っていくようである。著者が日々の中で出会う詩を携えて、散歩して暮らす。そういう毎日をスケッチしたような本。

引用した箇所を読んでいて、私が日々何に傷ついていたのか、何に苦しめられてきたのかを振り返るためのたくさんのお休みをもらったのだと思った。私が大事にしたいと思っている時間を思い出した。自分の目に映る取るに足りないものたち、見過ごしてしまうもの、小さなもの、なんでもないものを大事にしたい、それらの中の美しさと、自分の中に起きることを一つずつ集めたい。

P20

「あなたという目的地を入力して一気にたどり着くのではなく、途中、あれこれささやかな苦労や美しさを経て、それらのすべてが合わさったとき、はじめてあなたに辿りつける。そんなプロセスがあったらいいのにと思う。」

 

 

P21引用

「猫たちが横になれる場所、実をつけるかもしれない木、泣きながら眠った人たちの家・・散歩をするとき、私がきょろきょろ見渡すものも、どれも取るに足らないものばかりだ。

しかし、私の心の中には、大きなものとそんなささしなものが共存するために、それほど傷ついたり長く苦しまなくてすむ。日々の暴力や陳腐なものにめったに染まることもない。」

 

ところで、P20に、地図学者のデニス・ウッドという人が、教え子たちと特別な地図を作ったと書かれている。従来の地図には場所や道路名など、客観的な情報が明示されるだけだが、彼は、名前のないもの、目に見えないものを書いていった。街に暮らす犬の名前、紅葉で色づいた、葉の色・・「この地図見てみたい」ググってみたけど、出てこない・・

レファレンスして聞いてみようかな。休んでなかったら、ふと疑問に思ったこと、面白いこともそのままにせざるを得ない。気になったことはもっと近づいてみることができるし、図書館はその行為とともにあるのではないだろうか。